初心者必見!これでもう迷わない渓流ルアーフィッシング!
緑に囲まれた川で、美しいトラウト(マス類)をルアーで狙う釣りが渓流ルアーフィッシングです。渓流釣りというと敷居が高そうですが、エサを使わないルアーはより手軽にエントリー可能。川を歩くと次々と現れるポイントにワクワクし、トラウトがルアーを猛追して喰うエキサイティングなシーンが目撃できます。ここではルアーで美しい渓魚と出会うためのイロハを紹介します。
渓流ルアーフィッシングについて学ぼう!
渓流ルアーフィッシングのフィールド
渓流釣りのフィールドは、川伝いに道路が走り人家や田畑が点在する里川から険しい深山幽谷まで、様々なシチュエーションがあります。渓流釣りでは川の規模や山深さに応じて、川面の幅が10mを超える流れを本流。その上流部を渓流。最上流域は源流と流域を分類しますが、入門者がエントリーしやすいのは本流~渓流域になります。比較的手軽にアクセスできる里川もおすすめのフィールドです。
渓流ルアーフィッシングのターゲット
渓流釣りの対象魚は、その川を管轄する漁業協同組合が定めた魚種で、地域によっても異なります。ルアーで狙える代表的なターゲットはこの4魚種です。
ヤマメは、サケ科サケ属の魚でサクラマスの陸封型の淡水魚。成魚になっても体側に残る美しいパーマーク(幼魚斑)が特徴の人気ターゲットです。主に渓流域、本流域に生息し、昆虫や小魚などを捕食。警戒心が強く、動きは俊敏で、大きいものは体長40cmに達します。養殖も行われ、解禁当初は放流魚も釣り人を楽しませてくれます。
※陸封型とは、海水に棲む時期と陸水に棲む時期を持つ魚が、地形などの変化により陸水内に留まり成長・繁殖するようになること。
アマゴは、ヤマメと同じサクラマスの陸封型ですが、体側に赤い斑点があるタイプがアマゴです。天然魚は、神奈川県以西の太平洋岸に流れ込む河川や四国などに分布しています。生息域や習性は基本的にはヤマメと同じですが、海に降りる降海型はサツキマスと呼ばれます。
イワナは、サケ科イワナ属の渓流魚で、基本的にはヤマメより上流域に生息。特徴は褐色の背中に白い斑紋があり、腹部や胸ビレ、腹ビレは黄色味を帯びていることが多いです。ニッコウ、ヤマト、ゴギ、エゾなどの亜種に分かれ、源流域では天然の地方型が残りますが、養殖も盛んで河川に釣魚として放流され、ヤマメと混棲する釣り場もあります。イワナも警戒心が強く、岩など物陰に潜んでエサを捕食します。
ニジマスは、北米原産のサケ科サケ属の魚で、日本各地の河川や湖に移植されています。体側の赤紫に輝く美しい帯状の模様から英名はレインボートラウトと呼ばれます。マス釣り場でもおなじみの魚で、河川では本流から渓流域に生息し、体長は河川内でも60cm以上に成長。放流から時間が経ち野生化した個体は、ヒレが再生して美しく、引きが強い渓流ルアーフィッシングの好敵手です。
渓流ルアーフィッシングのシーズン
渓流釣りのシーズンインは春。3月には多くの河川が解禁を迎えます。早春はまだ水温が低く、魚は流れの緩いところで流下するエサを捕食しています。山々の木々が芽吹き、深緑へ変わる晩春から初夏は、渓流のベストシーズン。虫や小魚が活発に活動し、それを捕食する魚の活性も上がって、ルアーにも積極的にアタックしてきます。真夏は河川の水量が減り、水温が上がるため、朝夕や水温が低い上流域が有望。
また暑い季節は、増水と水温低下をもたらす雨が、魚の喰い気を誘う好要素になります。秋はサイズが上がり、産卵期が近くため婚姻色に色づきます。ただ活発な捕食行動は減り、徐々に釣るのが難しくなります。9月下旬以降は資源保護のために多くの河川がマス類の禁漁期に入ります。
渓流ルアーフィッシングのポイント
渓流のトラウトは上流から流れてくるエサを捕食しているため、速い流れが急にたるむ部分や白泡の下など、エサを捕食しやすいところに潜んでいます。代表的なポイントは次のとおり。このほかにも堰堤の下や支流の合流部など有望なポイントがありますが、水温が低い早春は流れの緩い部分が中心。新緑の頃から速い流れの中でも釣れる、ということを覚えておきましょう。
浅くて速い流れが、点在する岩に当たって白泡を立てている部分が瀬です。水中の酸素が豊富で、水生昆虫などのエサが多い晩春から夏に有望なポイントです。岩の裏(下流側)の小さな落ち込みなど、速い流れが避けられるスポットに付く魚を狙います。瀬がはじまるところは瀬肩。瀬が終わる部分は瀬尻といい、とくに瀬尻は流れてくるエサを待つ魚がつきやすいです。
落差のある流れを落ち込みといいます。白泡を立てて流れが落ち、落ちた部分に魚がたまりやすいです。早春の水温が低い時季は流心脇の流れの緩い部分で、晩春以降の活性が上がる時季は、白泡の下で魚が流れてくるエサを待っています。
淵など流れがゆるむプール状の水域に流れが落ち込む部分を流れ込みといいます。プールに魚がたまり、流れ込みからエサが供給される好スポットで、数も型も期待が持てます。流れ込みの白泡が絡む岩や、流れがたるむ部分、流心脇の反転流など狙い所もたくさんあります。
水深があって流れが緩いところがトロ場です。魚の越冬場所にもなりやすく、早春の低水温期に有望です。基本的にトロ場の魚の活性は低めですが、雨による濁りはじめや雨後の澄みはじめに一時的に喰いが立つこともあります。また瀬尻やトロ場は、秋に大型が出やすいポイントにもなります。
これだけはそろえよう!渓流ルアーフィッシングに必要な道具と装備
渓流のルアー釣りは、釣果は足で稼ぐと言われるくらい機動力が重要です。まずは扱いやすいタックル1セットに、安全かつ快適に川を歩ける装備を用意しましょう。また、道具にこだわる趣味性の高さも渓流ルアーフィッシングの楽しみ方。最近の流行りも含め、タックルや装備を紹介します。
ロッド:5ft6in~6ftの渓流用スピニングロッド
ロッドは、5ft6in~6ftの渓流用スピニングロッドが基準になります。渓流域で取り回しやすく、本流域でもある程度遠投が効き、幅広い状況に対応しやすいです。管理釣り場で使うエリアトラウト用など、ロッドが軟らかすぎると渓流の速い流れの中でルアーが操作しにくいので注意しましょう。また、近年は渓流用に開発されたベイトロッドを使う渓流ベイトフィネスというスタイルも人気です。
▼ ロッドの購入や選び方はこちらの記事でさらに詳しく!
リール:1000~2000番のハイギアタイプのスピニングを選ぼう
スピニングロッドには、スピニングリールを用います。サイズはコンパクトで軽量な1000~2000番がおすすめです。さらにリール選びで重要なのは、ハイギアタイプであること。流れの中で糸フケを素早く巻き取ったり、ルアーを流れに負けない速さで巻いて、泳がせやすくなります。また軽量なリールを選ぶことで、ロッドの操作性を上げることができます。渓流ベイトフィネスの場合は、渓流対応の小型ベイトリールを選びます。
▼ リールの購入や選び方はこちらの記事でさらに詳しく!
ライン:入門者は扱いやすいナイロン。近年はPEラインを選択する釣り人も多い
渓流のルアー釣りで使うライン(釣り糸)は、扱いやすさでいえばナイロンライン。しなやかでライントラブルが少なく、入門者に最適です。強度は、岩などに擦れることも考慮して4lbを基準に、大型のニジマスが釣れる川では5lbでも良いでしょう。最近はPEラインを使う釣り人も多く、釣りに慣れてる人におすすめです。細くてラインの伸びがないので、飛距離が出て、ルアーにキレの良い動きをつけることができます。太さは0.6号。PEラインは、岩など硬い物への擦れに弱いのでフロロカーボンリーダー(先糸)1.5号前後を30~60cmを結びます。
▼ ラインの購入や選び方はこちらの記事でさらに詳しく!
ルアー:ミノー、スプーン、スピナーの3タイプを用意
渓流で使うルアーは、主に全長5cm前後、重さ5gまでの小型ルアーを使用します。軸になるのが、小魚の形を模したミノーです。渓流用と銘打たれたアイテムを選べば間違いはありません。水面に浮くフローティングタイプと、沈むシンキングタイプがありますが、主流は全長5cm前後、重さ5g前後のヘビーシンキングミノーです。投げやすく、速い流れの中でもバランスを崩しにくく、しっかりアクションをつけることができます。
フローティングタイプは、夏の渇水期など平水位より浅い状況や狭い渓流で有効。着水音が静かで、警戒心の高い魚に効果的です。さらに金属製のスプーンやスピナーがあると、狙えるスポットや釣れる魚を増やすことができます。とくにスピナーは、投げてリールを巻くだけで使えてビギナーの方でも簡単。早春の低水温期に実績があるルアーです。
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装備:機動力&釣果アップのためにウェーダーはマスト!
渓流ルアーフィッシングで欠かせない装備がウェーダーです。渓流釣りは歩きながら新しいポイントを次々と探りますが、ウェーダーを履けば浅瀬の渡渉など川歩きの機動力が上がります。また、あと一歩川に立ち込めば、あの岩の際にルアーを通せるといった具合に、立ち位置の自由度が増して釣果アップにも直結します。ウェーダーにはウェーディングシューズを履くストッキングタイプと、ブーツと一体型のブーツタイプがありますが、足部のフィット性が高く、川原を歩きやすく疲れにくいのはストッキングタイプです。
その他の装備は、渓流用の小型ランディングネット。釣った魚を救う実用品というだけでなく、フレームに銘木を採用した工芸品のように美しいものもあり、トラウトアングラーがこだわるアイテムの一つです。偏光グラスをかけると水中の様子やルアーを追尾する魚の姿が見やすくなり、より釣りが楽しめます。ラインカッターやプライヤーなど釣りの必須小物も忘れずに。また、山は天候が変わりやすいので雨具も用意したほうが良いでしょう。暑い季節は虫除けも必需品。クマが生息する地域は、熊よけ鈴で不意の遭遇を防ぎます。
▼ 装備品&安全装備の購入はこちらの記事でさらに詳しく!
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渓流でトラウトを釣ってみよう!
タックルや装備をそろえたら、いざ渓流へ!ビギナーの方が最初の1尾と出会うためにどうすれば良いかをレクチャーします。
釣りをする前にルールとマナーを確認
ヤマメやイワナなどマス類が釣れる河川のほとんどは、鑑札(遊漁券)が必要です。釣行前に確認し、必ず購入してから釣りをします。遊漁券には1日券と年券があり、同じ川に何度も釣行するなら年券がお得です。鑑札には魚種、体長制限、尾数制限、禁漁区などのルールが記載されているので、きちんと確認しておきましょう。
釣り場では、迷惑駐車をしない。ゴミを捨てない。私有地に入らない。挨拶をするなど、釣りの基本マナーはしっかり守りましょう。また、渓流釣りは基本的に上流に向かって釣り歩きますが、先行者がいる場合は、できるだけ距離をとった位置から川に入るようにします。堰堤などの大場所で先行者が粘り、追いついてしまったときはひと声かけてから追い越します。
上流に向かって釣り上がるのが基本
流れがあるところにいる魚は、上流側に頭を向けて潜んでいるので、河川では上流に釣り上がるのが基本になります。そのほうが魚に釣り人の気配を悟られにくく、上流から下流に向かうと人影が魚の視界に入って警戒させてしまうことがあります。また、できるだけポイントから離れて釣りをすることも重要です。川原を歩くときは、地面でぐらつく浮き石やコケや藻類が生えた石で足を滑らせて転ばないように注意。無理をせず安全第一の行動を心がけましょう。
流れに対するアプローチを理解しよう
渓流ルアーフィッシングは、他のルアー釣り同様、狙ったところにルアーを通し、アクションさせて魚を誘いますが、渓流は流れが速いため、投げる方向によって同じルアーでも操作方法が変わります。上流に向かってルアーを投げるアップストリームでは、流れと同じ向きにルアーを引くため、流れより速くリールを巻かないとルアーは動きません。逆に流れに逆らうようにルアーを引くダウンのアプローチは、ルアーが流れを受けてリールを巻かなくても泳ぐくらいです。流れを横切るようにルアーを通すクロスは、ルアーが流されつつもしっかり泳ぐスピードで巻きます。斜め上流へのアプローチはアップクロス、斜め下流へはダウンクロスと言いますが、どの方向にアプローチしても流速に応じてルアーがバランス良く泳ぐように操作します。
流れの変化や障害物の際をテンポ良く探っていこう
主なポイントは前述のとおりですが、その中にある流れの変化や障害物の際などをテンポ良く探ります。流れが当たる岩があれば、身を隠せる障害物にもなるし、岩の裏(下流側)は流れがよれて、流れの変化にもなります。流れに覆いかぶさる樹木の下や、大岩で分かれた流れが再び合流する部分など、流れの変化や障害物周りなど気になるところにルアーを通すことで、釣果アップにつながります。
各ルアーの使い方
ミノー:トゥイッチングで魚の喰い気にスイッチを入れる
ミノーは、下アゴ部にあるリップが水を受けると泳ぎ出します。投げて巻くだけでも釣れますが、渓流での使い方の基本はトゥイッチングです。操作方法は、竿先をチョンチョンッと小さく振りながらリールを巻きます。こうするとミノーは不規則に動き、キラキラッと反射して魚を誘うことができます。まずはミノーが見える範囲で、トゥイッチングのしかたを覚えましょう。
スプーン:ただ巻きやトゥイッチングで使用
スプーンの使い方は、投げてリールを巻くだけ。水の抵抗を受けると金属板の頭を支点にヒラヒラとスイングするように動きます。ただ巻き中にトゥイッチを入れるのも効果的です。ミノーより深い泳層が探りやすく、ミノーにスレた魚にも効果的。流れ込みではダウンのアプローチで、任意のレンジまで沈めたスプーンをサオで上流側にサビいて泳がせ、ラインを張ったままサオを戻しながら下流へ送り込むを繰り返しすことで、同じ範囲で小魚が行ったり来たりするような演出も可能です。
スピナー:ブレードが回転する速度で巻くだけ
スピナーは本体に取り付けられた金属翼(ブレード)が水を受けるとクルクル回転して、波動と反射を発生して魚を誘います。使い方はブレードが回る範囲で、なるべく低速でリールを巻くのが基本。アップなら速く、クロスからダウンにかけてはよりゆっくり引くことになります。ブレードが回転する振動が一定に感じられるように巻いてみましょう。魚が付いてきても喰わないときは巻き速度を上げたり、チョンッと一度トゥイッチを入れて喰うきっかけを与えます。
アタリ~アワセ~やりとり
強引なやりとりは厳禁。魚の引きを吸収して慎重にファイト。渓流のマス類は、ルアーを食って反転するのでアタリは明確。向こうアワセでハリがかりすることが多いです。コンッとアタリが出るだけでハリがかりしないときは、ハリ先が甘くなっていないかを確認。ルアーを岩などにぶつけてハリ先が曲がっていることもあります。また、リールのドラグを少し緩めるとアタリを弾かず、フッキング率が上がることもあります。
魚をかけたら、強引なやりとりは避けます。とくにヤマメは、ハリがかりすると魚体を回転させながら暴れ、ハリが外れやすいです。魚が引いているときはサオを立て気味にして、サオの曲がりで引きを吸収。強い引きがおさまったら、リールを巻きながらサオで流れの緩い部分に誘導してとりこみます。
釣った渓流魚は香ばしい塩焼きで味わおう!
渓流で釣ったヤマメやイワナは美味しいお土産になります。各河川の漁協が定めた体長制限や尾数制限を守るのはもちろんですが、資源保護のために、必要な分だけ持ち帰るのがマナーです。リリースする魚は、乾いた手で触らず、ハリを優しく外して、なるべくダメージを与えないように川に放します。
さて、キープした魚をどう料理するか?20~25cmほどの渓流魚は、塩焼きがおすすめです。炭の強火の遠火でじっくり焼けば、身はふっくらと皮まで香ばしくいただけます。釣り仲間とキャンプをすれば、炭火焼きも実現可能。獲物を味わいながら、釣り談義という贅沢な時間が過ごせます。
▼ より具体的な料理の方法についてもっと詳しく知りたい!という方はこちらの記事へ
まとめ
いかがでしたでしょうか?渓流ルアーフィッシングは、川を歩くと次々と現れるポイントにワクワクできる楽しさ、エサを使わないルアーはより手軽にエントリーすることができるでしょう。道具にこだわる趣味性の高さ、大自然をたっぷりと味わえる釣りですので、少しでも興味を持っているなら、ぜひ、はじめてみてください!
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他の魚も釣ってみよう!
協力:ルアーマガジンソルト編集部