大雨の時どうする?豪雨災害を知って備えよう!

大雨で冠水した街

過去5年間、大雨による災害が毎年起きているのをご存知ですか?
2017年には九州北部豪雨、2018年は西日本豪雨、2019年は九州での大雨災害、2020年にも7月に豪雨災害が起きて球磨川が氾濫し、2021年にも大雨による土砂災害や浸水が発生しました。
気象庁の観測データによると、1901年の統計開始からの30年間と直近30年間を比べると、1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数は、約1.6倍に増加しています。つまり、今後も毎年のように大雨や豪雨による災害が起きる可能性が高いということ。

避難所に必ず入れるとは限らない!?

災害が起きた際は、とにかく避難所へ行けば何とかなる、と考えていないでしょうか?
新型コロナウイルスの影響で、避難所では家庭ごとに「間仕切り」で区切るようになっていて、スペースがかなり限られてきているそうです。 収容可能な人数は、以前の3分の1ほどと言われており、「在宅避難」や「分散避難」も推奨されています。

「在宅避難」をすればいいのか、それとも避難所に行けばいいのか悩むところですよね。 それならまずはハザードマップの確認から始めましょう!

自宅周辺のハザードマップをチェック!

ハザードマップは、身の回りでどんな災害が起こるのかを知ることができるものです。 自宅が安全な位置にあるか、避難所に行くまでの道にどんな災害が起きるのかなどを確認できます。

ハザードマップを見ておらず「洪水が起きても私の家は川の近くじゃないから大丈夫!」と思っている人もいるかもしれません。 しかしながら川から離れていても、広範囲で洪水が起きることもあります。
2018年の西日本豪雨の例では、水害後、国交省がドローンを飛ばして上空から確認すると、大規模冠水した岡山県倉敷市真備町の地区内の浸水被害はハザードマップの想定範囲とほぼ重なっていたそうです。
画像は、倉敷市真備町のハザードマップ。洪水が起きた時の、浸水想定区域(最大規模)です。川から離れた地域でも浸水することが分かります。

岡山県真備町のハザードマップ

また、大雨によって地盤が緩み、土砂災害が発生することもあります。
平成30年7月豪雨では、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生し、死者数が200人を超える甚大な災害となりました。 こちらの写真は、呉市安浦町市原地区。広範囲にわたって土砂や倒木に覆われた様子が伺えます。

広島県呉市の様子 出典:(一財)消防防災科学センター「災害写真データベース」

このように、川から離れていても安全とは言えません。
政府広報によると、土石流・地すべり・がけくずれを合わせ、年に平均で1,000件くらいの土砂災害が発生しているそうです。 そのためまずは自宅周辺が安全かどうか、ハザードマップをチェックしましょう。
ハザードマップを確認

自宅が危険だと判断したら避難所への避難経路の確認と避難のための備えをはじめましょう。 自宅が安全そうであっても、トイレが流せなくなったり、物流が止まったりという問題が発生する可能性がありますので、在宅避難のための備えをしておきましょう。

マンションだったら洪水が起きても大丈夫?

洪水が起きてしまいそうな範囲でも「私はマンションに住んでいるから大丈夫だ!」と思っておられる方もいらっしゃるかもしれません。 画像は大阪市の洪水被害の想定範囲。濃い赤色の部分は、最大で5~10m浸水することを示しています。
一般的なマンションの4階は、天井までの高さが地上から約12メートル程度。 4階の床の部分の高さは9~10mほどなので、床上まで浸水することになります。

大阪市のハザードマップ

東京都葛飾区および、荒川区のハザードマップもご覧の通りです。 かなり広範囲で浸水の被害にあうことが分かります。

葛飾区のハザードマップ

該当の地域のマンションにお住まいの方は、5階以上の高さでなければ避難をした方が良いということになります。 浸水する高さも確認して、避難所への移動が必要かどうか検討しましょう。

なお5階以上の場合でも、マンションの入口が浸水や土砂災害で塞がれ、外に出られないことが考えられます。 停電や断水が起き、外に出られないために食事に困る可能性もありますので、お水やトイレ、充電できるものの備えや食料品の備えが必要になります。
避難所へ逃げる必要が無い場合であっても、在宅避難の準備をしておきましょう。

避難所にはいつ行けばいいの?

自宅が大雨による洪水で、浸水や土砂災害にあう可能性がありそう!でも、避難のタイミングって、いつ頃が良いのでしょうか?
「避難指示が出る、警戒レベル4で避難すればいいんじゃないの?」と思われている方も多いことでしょう。 では、こちらをご覧ください。

災害レベル

避難指示(警戒レベル4)は『一刻も早く避難が必要』な段階です。結構ギリギリそうですよね。
昼間ならともかく、もし夜間に避難指示(警戒レベル4)が出てしまったら…? 夜間は辺りも暗く見通しが悪いため、外に出るのは危険です。 もし夜間に避難指示が出そうだと感じたら、避難指示が出るギリギリまで待つのではなく、明るいうちに早めに避難するようにしましょう。
避難の際は、避難所までのルートをハザードマップで確認し、水没しそうな道や土砂災害に合いそうな道は避けて移動しましょう。

避難経路

避難は避難所だけじゃない!

避難は「避難所に逃げること」と思いがちですが、そもそも『難』を『逃れる』ことなので、必ずしも避難所に行く必要はありません。
ハザードマップを見ると、避難所自体も浸水の被害にあう場所にあるケースもあります。余裕があれば、ハザードマップを確認したうえでより安全な場所へ避難しましょう。

分散避難

2021年の例を見ると、大型の台風に備えてホテルに避難する方も多くいらっしゃいましたし、頑丈な建物の立体駐車場が解放され、車中泊をする方もいらっしゃいました。 避難所自体の収容人数が少なくなっていることや、感染症を懸念して、こうした形で避難する人も多くなっています。柔軟に考えて行動するようにしましょう。

車中泊の場合はエコノミークラス症候群にも注意したいところです。
避難時に急に車中泊をするより、普段からレジャーとして車中泊を楽しんでおいて、準備を進めておくことをおススメします。 車中泊を考えている方は、こちらの内容も参考にしてみてくださいね。

冠水する前に避難しよう!

洪水が起きた際に、冠水した道を歩いている方をテレビで見ますよね。 ひざの位置まで浸水していても歩けるのかな?と思ってしまうのですが、あの時点でかなり危険な状況です。

まず、ひざ上まで水が来ている場合は避難するのは危険だと言われています。 ひざ上でおよそ50cmくらいですが、この状態だと水圧で前に進むことすら難しくなります。
水に流れがある場合は、20cmくらいの深さでも足をとられて転倒して流されてしまいます。

膝上浸水

さらに冠水した道路では、マンホールの蓋や用水路、側溝が見えなくなっています。
また、マンホールのふたが浮き上がり、外れてしまって、マンホールに落ちてしまうこともあります。 実際に、1998年9月の高知豪雨では冠水道路上のフタのあいたマンホールに吸い込まれ2人が亡くなっています。 もし冠水した状態で避難せざるを得ない状況になった場合は、画像のように複数人で避難し、長い棒などで足元にマンホールや側溝などが無いか確認しながら進むようにしましょう。

冠水時の避難

河川の氾濫などで水位が急に上がることもありますので、冠水する前の避難をお勧めします。危険を感じたら早めに避難しましょう。

車で避難しない方がいいって本当?

車で避難するのはかえって危険なこともあります。
東日本を中心に大きな被害をもたらした大型台風19号やその後の21号、更にその後に続いた10月25日の記録的な大雨では、水没した車内などで亡くなる「車中死」が急増したと言われています。 「まだ大丈夫」と思っている間に水位が上がり、車から脱出できなくなってしまうケースが多いそうです。 日本自動車連盟(JAF)によるテストでは、車内に空気が残っている場合は水深にかかわらず、車外の水圧でドアが開かなかったことが分かっています。
また、JAFは、乗用車は水深30cm程度の道を30km/hで走行すると、巻き上げる水がエンジンルームに入って停止する可能性があると警告しています。 水深60cmでは、10km/hでしばらく走ることができますが、やがてエンジンが止まるそうです。

車での避難

一見大丈夫そうに見えますが、写真のように冠水してしまっている状態であれば、車で避難するのは危険です。

ご家族に体の不自由な方や、ご高齢の方、乳幼児がいる方は車で避難を考えている方も多いと思います。
車での避難は、事前にハザードマップを把握し水位が上がり始める前に避難することが重要です。 その際、アンダーパス(鉄道や道路の下を通る掘り下げ式の地下道)は使わないようにしましょう。 雨水は低い場所へと流れ込むため、アンダーパスはあっという間に冠水します。 車が冠水したアンダーパスに取り残され、車内で溺死する事故も発生しています。

アンダーパス

↑水没した際の水深が書かれているアンダーパス。冠水する危険性があることが分かります。

避難所に行くための備え

自宅にいるのは危険そうだと感じられた方は、避難所への避難準備を始めましょう。
2020年の台風10号では、新型コロナウイルス対策として避難所の密を避けるため、ホテルや親戚・知人宅、安全な自宅などに分散して避難する「分散避難」が大規模に実施されました。
しかしながら、「ホテルに電話しても満室だったので避難所に来た」という方も多くいらっしゃったそうです。 ですのでホテルなどへの避難にも、避難所への避難にも、どちらでも対応できるように、まずは防災セットを用意しておきましょう。

市販の防災セットは、多くの人が使えるように「基本のセット」しか入っていません。
ですから『自分にとって何が必要か?』を合わせて考えて、セットの中に追加するようにしましょう。 「一泊二日の旅行に行く時に便利なものは何だろう?」と考えると、必要なものが追加しやすくなりますよ。 例えば、ホテルのアメニティーとしてついているような簡易のスリッパや、歯磨きセットなどもあると便利。 スマホ充電ができなくなる可能性が高いので、大容量のモバイルバッテリーも忘れずに!
なお避難所には椅子や座布団が無いので、持ち運びできるものがあると腰が痛くならずに済みますよ。

また、避難の際は両手を開けておくのが鉄則!傘は持たず、レインコートやポンチョを使いましょう。 リュックの中のものは、濡れないようにビニール袋で保護しておくのがおすすめです。

COLUMN防災セットに追加するものの例

・免許証や保険証のコピー
・現金、銀行のカード、クレジットカードなどの貴重品
・タオル、着替え、ブランケット
・常備薬、おくすり手帳
・暇つぶし用の本(お子さん用の絵本)やトランプなど
・モバイルバッテリー
・普段から食べているおやつ など

CHECKおすすめ防災セット

【防災士監修】防災セットPRO-1 1人用

基本的な防災セットに、椅子をプラスしたセット。椅子のない避難所でも安心!基本的な防災セットに、椅子をプラスしたセット。椅子のない避難所でも安心!

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【防災士監修】防災セットPRO-1 2人用

基本的な防災セットに、2人分の椅子をプラスしたセット。1人がこのセットを持って、もう1人が着替えやタオルなどの追加アイテムを持つのがおすすめです。

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【防災士監修】防災セットPRO 2人用 大容量バッテリーラジオライト付

大容量5,000mAhバッテリーを搭載した、多機能ラジオライト付きの防災セット。スマートフォン一台分の充電が可能です。

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リビングに置ける防災セット 1人用(40アイテム)

リビングに置いても違和感のない、リュックにもなる椅子と防災グッズをセットに。見せ置きできるので収納スペースにも困らず、家のどこに置いても自然なデザインです。

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CHECKおすすめ追加アイテム

災害時に「持っておけばよかった!」と言われるアイテム第1位が、モバイルバッテリー!最低でも5,000mAh、できれば10,000mAhの容量のものを用意しておくことをおススメします。

在宅避難をするための備え

在宅避難をするならば、「水」「トイレ」「モバイルバッテリーやポータブル電源」「食料」を用意しましょう。
大規模災害発生時には「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。また、洪水被害の場合だと水が引くまでに2週間かかったケースもあります。 そのため2週間分は用意しておきたいところですが、備蓄できるスペースは限られています。マンションの場合はなおさらですよね。
災害発生から3日間は人命救助が最優先になり、道路の復旧や避難所への物資輸送はその後なので、この期間中の備えだけでも整えておきたいところです。
備蓄スペースが十分あるならば2週間分、最低でも3日間は在宅避難できる準備をしましょう。

CHECKおすすめ保存水

保存水は、身体によさそう、おいしそうという考えでミネラルウォータータイプを選ぶ方も多いのですが、実はミネラルウォーターには、天然水ならではの不純物が微量ながら混在しています。
この不純物が経年によりミネラルや不純物が結晶化してしまうこともあり、5年後には飲めなくなっていたことも過去にあったようです。 長期保存用として選ぶのであれば、そうした心配のない、不純物が少ないものを選ぶのがおすすめです。
下記の商品は、自治体への納入実績も多数あり、10年経過しても問題なくおいしく飲んでいただけることも実証済み。 不純物がないので赤ちゃんやペットも飲める、優しいお水です。

CHECKおすすめ非常用トイレ

非常用トイレは、廃棄までにしばらく保管することになるので、なるべく除菌または抗菌効果のあるものを選ぶようにしましょう。
特にニオイや病気の元になる菌を減らせる除菌効果のあるものが最もおすすめです。 抗菌は、菌の繁殖を抑えられますが、菌そのものが減るわけではないのを念頭においておきましょう。
袋の厚さや大きさも選ぶポイント。 破れにくくニオイも漏れにくい、0.03mm以上の厚みのあるもので、サイズは口の大きさが68~70cm、長さは50~70cmくらいの大きさのものがおすすめです。

もっとも凝固剤が固まるのが速く、かつ凝固剤に除菌効果と消臭効果があるケンユーの非常用トイレが特におすすめ!
阪神淡路大震災のころからずっと製品の検証を続けており、7~10年経過後も問題なく使えたことも実証済みです。 国土交通省や防衛省、警察や消防署などの公的機関にも採用され続けている、信頼性抜群のメーカーです。

【簡易トイレ】【非常用トイレ】ベンリー袋防臭袋プラス 30回分セット

汚物袋、凝固剤、防臭袋は100回分セットと同じものです。大体2人×3日分の目安量です。

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CHECKおすすめモバイルバッテリー、ポータブル電源

モバイルバッテリーは、普段でも使えるものを選ぶと、いざという時に慌てなくて済みます。
日常でも持ち運びやすく使いやすい5,000mAhのものと、停電した後のために、10,000mAh以上のものを最低一つでも用意しておきましょう。 停電が長引くことも考えて、複数台用意しておくのがおすすめです。
扇風機などの小型家電を使いたい場合はポータブル電源が便利。USBで使えるタイプの家電なら電力消費も少なく、長時間利用できます。 ドライヤーなどの熱を発するものは電力消費が激しいので、一気に電池が減ってしまいますので、使うものをよく考えるようにしましょう。

CHECKおすすめ非常食・保存食

野菜が手に入りにくくなってしまうので、まずは野菜がとれるものを選ぶのがおすすめ。
すぐに食べられるパンやアルファ化米など、主食になるものも合わせて準備しておきましょう。
災害時に甘いものが食べたくなった、食べてホッとしたという意見も多いので、ストレス緩和用に缶入りのケーキなどのお菓子もおすすめです。 最近の非常食や保存食は大変おいしくなっているため、味見で食べて、うっかり全部食べてしまう人もいるとか…!?

在宅避難についてさらに詳しく

大雨・洪水・豪雨災害についてもっと詳しく!

避難時の長靴・サンダルはNG

雨での避難は長靴を履いて逃げる、と考える人は多いと思います。
冠水していない浅い状態であればよいですが、大雨や洪水で水位がくるぶしの高さ以上になると、長靴の中に水がたまりやすくます。 中にたまった水が重しになってしまい、移動するのにも一苦労という状態になる危険性があります。 さらに、長靴履きやすく、また脱げやすくもなっています。大雨や洪水の移動時に脱げてしまい、その際に転倒してしまう恐れもあります。 河川が氾濫したようなときは、水の勢いが強い場合も多く、転んだ表紙に身体ごと流されてしまう危険もあるのです。

川遊びの時に使うようなサンダルはもっと危険で、洪水の時は流れてくる水の中に、ガラスやガレキなどの硬くてとがった危険物もたくさん隠れています。
しかも川遊びの時のような、きれいな水ではなく、下水が混じっている可能性がありますので、感染症にかかる恐れもあります。 の勢いが強い場合も多く、転んだ表紙に身体ごと流されてしまう危険もあるのです。

避難の際は、紐で締めることができるような水が浸入しにくいタイプのレインブーツや、脱げにくい紐靴タイプのスニーカーで、動きやすく靴底が滑りにくいものを選びましょう。
冠水する前に逃げる方が、難しく考える必要もなく、避難もしやすいと思いますよ。

川や田んぼの様子を見に行く人がいるけれど…

大雨の時は、川や田んぼの様子がどうしても気になってしまう!という方もいらっしゃいますよね。 生活が懸かっていますし、死活問題ですから、お気持ちは重々分かります。ですが、やはり危険なので様子を見に行くのは避けてください。

どうしても気になる!見て確認したい!とおっしゃるのであれば、安全な場所から双眼鏡などで確認するようにしてください。 くれぐれも、安全第一でお願いいたします。

現場確認に使える双眼鏡など

普段の生活も防災になる!

ベランダの排水口や側溝に落ち葉やゴミなどがたまると雨水が流れづらくなります。
定期的に掃除してキレイにしておくことが、防災にもつながります。 ベランダの排水口や側溝まわりに何かが置いてある場合は、雨水が流れづらくなる原因になるので、移動させておきましょう。
また、雨水が流れにくくなるのは、自宅周りだけじゃないので、町内会の掃除などがある場合は、参加しておくのがおすすめです。 ご近所の方との交流があると、いざ避難しなければならない時に、お互いの安全確認もできます。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などでは、被災後、近隣住民が助け合うことによって心身ともに支えになり、復興の足掛かりとなったというケースも数多く報告されています。
普段から挨拶や声掛けをして、「顔の見える関係」を築くのも防災の一助になります。

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