第一章 レインウエアの基礎知識
レインウエアの種類
・セパレートタイプ
上下に別れているタイプで全身を覆い、防水効果抜群、それでいて自由に動ける。
上着部分はアウトドアでは必需品のウインドブレーカーとしての役目を果たす。
情況に合わせて上着だけ、上下着用と使い分けできる。
朝もやの中で露のついた草むらなど歩く時はパンツだけ履けば快適に歩ける。
・コートタイプ
いわゆる一般的なカッパ。
パンツ部分が無いのでハードコンディションでの使用はつらいが、手軽さが魅力。
・ポンチョタイプ
頭から被るタイプなので着るのが簡単。急な夕立などには重宝する。
ザックごと被ってしまえるのは便利。
レインウエアの素材
レインウェアで最も重要なのは防水性ですが、それ以外に求められている性能が透湿性です。これが価格の違いを生みます。
登山やスポーツの後は結構な汗をかいています。下手をすると雨に濡れたほどの汗によって不快感が生じます。さらに、汗が乾くと同時に気化熱現象で体温が奪われて低体温症(ハイポサーミア)を引き起こし、登山等では命取りになることがあります。これを回避するのが透湿性です。
防水性と透湿性は相反するものなのですが、ゴアテックスなどの防水透湿性素材はその矛盾を克服した素材です。
レインウェアにおける素材選びは命にかかわる重要な事なのです。 |
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1. ビニール素材
●P.V.C(ポリビニールクロライド)
P.V.Cとは生地に塩化ビニールをコーティングした素材で、低価格のレインウエアに最もよく使われている素材です。海水などにも強く、強度があってこすれても大丈夫です。
欠点は重いことと、劣化したらコーティングがボロボロに剥離してしまい、早ければ数年で使えなくなってしまうということです。その点、ハイパロンやハイドロプロなどの最近のハイテク素材は、数十年は使えると言われているので、長い目で見るとそちらのほうがお得かもしれない。
2. 防水透湿性素材
●多孔質タイプ
無数の微小な穴が開いている非常に薄いフィルムを生地にラミネートした素材。ほかの素材よりも透湿性に優れ、汗をかいても蒸れずに快適。ただし、微小な穴が目詰まりを起こすと機能が損なわれるので定期的なお手入れはかかせない。
例:
* GORE-TEX
レインウェアに使われるのは大きく分けて3種類。3レイヤーと2レイヤー、その二つのメリットをミックスさせた素材にゴアパックライトがある。裏地の付いた3レイヤーで耐水圧45,000mm、透湿度13,500g/ m2-24h。裏地をつけない2レイヤーでは透湿度15,000g/m2-24h。2レイヤーのモノは裏地をつけない分軽量で、透湿性がゴアテックスシリーズ中もっとも高い。ゴアパックライトで耐水圧30,000mm、透湿度15,000g/m2-24hで、驚く程軽量、コンパクトで耐磨耗強度に優れたドット加工が裏地の代わりに直接メンブレンを保護し裏地不要とした分、重量を大幅に軽減された。それぞれ共通して20回の洗濯の後もほとんど機能に変化がなく耐久性に優れる。
●無孔質タイプ
水蒸気が抜ける穴も無いのに蒸れが抜けていく不思議な素材。(水蒸気が分子レベルで移動する)
無孔なので水滴を通さず目詰まりも無い。高防水性でしかも透湿性があり優れた素材である。
例:
* DIAPLEX
耐水圧20,000〜40,000mm、透湿度12,000g/m2-24h。温度変化に応じて衣服内環境を常に快適に保つ性能がある。ウェア内外の温度変化を感知して、素材自体の性質を変化させることで、暑いときは高い透湿性を発揮して衣服内のムレを抑え、寒い時には高い保温性を発揮して体温の放出を防ぎます。
* DERMIZAX
耐水圧20000mm以上、透湿度5500g/ m2-24h以上をマークする。
水蒸気を吸着するポリウレタン樹脂を素材にし、耐結露性にも優れている。
無孔なので海水による目詰まりもなくマリン用にも最適な素材。
* SUPER PROTEINTEX
防水性を受け持つフィルム内に約1ミクロンの天然たんぱく繊維の微粒子を内包し、このプロテインパウダーが衣服内の水蒸気を吸い取って外へ放出する。透湿度20000g/ m2-24hという驚異的な素材。耐水圧は、18000mm。
●コーティングタイプ
ウレタン系の原料を生地に直接コーティング加工し、防水性を高めた素材。比較的価格が安いのが魅力だが、他のハイテク素材よりは蒸れやすいのが欠点。最近では、メーカーの技術革新によりコーティングに無数の微細な穴を開け、透湿性を確保したタイプも登場してきている。
例:
* ENTRANT GII (GII-XT、DT)
生地に透湿性防水素材をコーティングした防水地としては元祖的な存在。GIIで耐水圧10,000以上、透湿度10,000以上。コーティングは三層構造ながらしなやかな生地。GII-HHPは、耐水性をアップさせ透湿性をそのままに、防風性を高めた耐水圧20,000〜30,000以上、透湿度10,000以上。更にエントラントGIIの進化したモノがGII-XTで、透湿性、耐水圧性能が格段にアップ。耐水圧20,000〜30,000 mm,透湿度20,000以上。 エントラントDTは2.5レイヤー。透湿膜と特殊ドットを組み合わせて、2レイヤーでありながらドライタッチを実現。また、3レイヤーに比べ透湿性の低下や重量増加を防ぐ事が出来るので、軽量コンパクト性に優れています。※エントラント素材は、測定方法により耐水圧、透湿度の数値にはバラ付きがあります。上記数値はメーカー非公表値です。数種の測定結果の平均を表記しました。
* DRYTECH (DRYLIGHTTECH)
スポンジ状になった厚さ約25μmの多孔質メンブレンを生地に張り合わせ、親水性のある無孔質ポリウレタンをコーティング。2レイヤーで耐水圧25,000mm、透湿度10,000g/ m2-24h。洗濯20回後も機能劣化もほとんどありません。生地自体も柔らかな着心地も大きな特長です。ドライライトテックは、更に進化させ、耐久性と快適性、軽量コンパクト性を追求した高性能素材で、従来の2レイヤー地に比べ耐久性を向上させ、3レイヤー地に比べ裏地を使わない分軽量化を実現しています。更に、ベタつき感がなくサラッとドライ感を保ちます。耐水圧20,000mm、透湿度12,000g/ m2-。
* HYDROBREEZE
超微粒子をポリウレタン樹脂に含有させることで微細孔を形成、防水性を高めると蒸気透湿性が低下するという問題を高いレベルで解決。2レイヤーで耐水圧20,000mm、透湿度8,000g/m2-24hで洗濯20回でも機能低下も少なく長期に渡って使用可能です。
● 耐水圧の読み方
レインコートの耐水圧は通常500〜1000mmあれば十分と言われています。
アウトドア用のレインウエアはその20倍以上の耐水圧が確保されています。 例えば体重75kgの人が座り込むと約0.2kg/cm2の圧力がお尻の部分にかかります。膝をついている時は、約1.1kg/cm2になります。これを耐水圧に換算すると11000mmになります。
● 透湿度の読み方
透湿度をあらわす単位「g/ m2-24h」とは素材1m2あたり24時間に何グラムの水分を透過する能力が有るかを表します。ちなみにウエアの表面積はほぼ2m2くらいです。
発汗量の目安は、大人一人が安静にしている時に一時間あたりに放出する発汗量は約50cc、軽い運動を始めると500cc、ランニングなど激しい運動を始めると1リットルにもなります。重いザックなど担いでの軽登山ではこれに匹敵します。 (※1ccの水の重さは1gです。)
● デニールとは
く生地の説明などに70Dとか書かれているものが有るが、Dはデニールの略で糸の太さの単位。
ナイロン生地を織ってある糸の太さの単位で1デニールは9000mの長さで重さが1gの糸。(※糸の種類や編み方により、同じ数値でも生地の厚さが異なる場合があります。)数字が小さくなるほどコンパクト(細く)、大きくなるほど丈夫(太く)なる。
丈夫 コンパクト
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210D 70D 30D 15D
● リップストップとは
裂け目を止める格子模様の生地。リップストップナイロンという生地が有るが、そのリップとは裂けるという意味。細い糸で生地を作ると軽くてコンパクトになるが、強度に欠ける。太い糸を格子状に織り込むことによって強度を上げ、また、裂け目が太い糸の部分で止まり広がるのを防ぐ。
※レインウェアを注文できるオンラインカタログはこちら。
目次
第一章 レインウエアの基礎知識
1. レインウエアの種類
2. レインウエアの素材
3. レインウエアに求められる機能
第二章 使用目的別レインウエアの選び方
1. フィッシング編
2. トレッキング編
3. バイクツーリング編
4. サイクルツーリング編
第三章 レインウエア使いこなし術
第四章 お手入れと保管
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