トップ > はじめよう!アウトドア > 杉坂プロのFFコラム第2回

杉坂プロのFFコラム
 
 

杉坂隆久
1956年2月10日愛知県岡崎市で生まれる。水瓶座。
先祖代々釣り好きの家系に育ち、物心付いた時には、近所の野池や小川で釣り糸を垂れていた。1974年よりフライフィッシングにはまり、川・湖・海、ミッジからストリーマーまで何でもこなせるオールパーパスなフライフィッシングをめざしている。岡崎市でFHスギサカを東京神田でトラウトショップとレビュープロダクツを小野訓氏とともに経営し、ロッドやリールの設計開発を行うかたわら、インストラクターとして全国各地でスクールを開催し後進の育成にも努めている。
著書に「フェバリットフライタイイング」・「シーズナブルタイイング」。出演ビデオに「THE JAPANESE BIG GAME」・「トラウト億万釣者」・「河口湖最新テクニック」等。


第2回 リーダーシステム

フライフィッシングにおけるリーダーとは、フライラインの先端部分に接続するテーパーのついたナイロンモノフィラメントのラインで、先端に結ばれたフライを色付きのフライラインから遠く離すことと、フライをスムースにターンさせる働きをします。かつてノンブレイデッド(繋ぎ目の無いテーパーリーダー)の技術の無かった時代には、様々な太さのナイロンモノフィラメントを継ぎ足すものが普及していました。

リーダーシステムとは、リーダーとさらにその先端に結ぶティペットを含めた長さと太さを状況により選択し調節することで、流れの中でフライにかかるト゛ラグを防いだり、フライラインの着水音からフライを遠ざけ、魚がフライを口にしやすくするためのシステムです。

リーダーの種類

素材は、ナイロンモノフィラメントのものが大半ですが、最近になってフロロカーボンを使用したものもでてきました。フロロカーボン製のリーダーは、比重が水やモノフィラメントより重いため、ドライフライの釣りには不向きで、ニンフやストリーマ―など、水中での釣りに適しています。長さは、ft(フィート)で表示され、7ftから12ftの長さが一般的です。最近はロングリーダーがブームとなっていて、14ftや15ftなどの長いものも発売されています。太さは、先端の最も細い部分をx(エックス)で表示します。7xから0x、それ以上に太いものは、0/1x・0/2×・0/3×とか-1x・-2x・-3xと表示し、最も太いもので0/4×・-4×があります。わが国のわかりやすい太さに変換すると、7×が約0.4号・6xが0.6号・5xが0.8号・4xが1号・3×が1.5号・2xが2号・1xが2.5号・0xが3号・0/1xが3.5号・0/2xが4号・0/3xが4.5号となります。この数値は正確ではなくかなりの誤差があると思いますが、あくまでもおおよその目安として覚えておくと便利です。

魚に対して有効なリーダーシステムとは?

リーダーシステムが長く細ければ、フライはナチュラルに流しやすくしかもティペットの存在そのものを魚に悟られにくくなります。ところが、自分の技術、ロッド・ラインの性能以上に長過ぎるとターンオーバーさせることが極端に難しくなり、正確なアプローチができなくなります。また細すぎれば、合わせ切れやファイト中のティペット切れなど、ランディングが難しくなります。小型のフライを使用する場合には細いティペットを、複雑な流れでは長くが基本となりますが、魚のサイズやキャスティングの距離や風などの影響を考慮し、フライがナチュラルに流れティペットの存在や影を見破られず、合わせ切れや走られ切れをおこさず、かつプレゼンテーションがスムースにできる長さの自分の技術にみあったリーダーシステムを見つけ出すことが必要です。

リーダーシステムの例

  1. 穏やかな流れで小型のフライ(#20以下)を使用する場合。忍野桂川・長良川・千曲川など、水温が低く小型の水生昆虫のみがハッチする状態のフィールドの場合。7×12フィートのリーダーに9Xのテイペットを5フィート継ぎ足します。ターンが上手くできなければ、10センチ単位でコントロール可能な長さまでカットします。 ライズがありフライもマッチしているにもかかわらず魚がでない場合には、10Xのティペットを2フィートほど継ぎ足します。
  2. フリーストーン(岩がごろごろした流れ)の山岳渓流で大型の水生昆虫もハッチする時期(5月〜9月)4×9フィートのリーダーに5Xのティペットを5フィート継ぎ足します。
  3. 湖でシンキングラインを使用する場合。芦ノ湖・河口湖など魚の平均サイズが30センチ〜50センチの場合。2×9フィートのリーダーに3Xのティペットを4フィート継ぎ足します。湖面が穏やかな場合には、さらに4×のティペットを3フィート足します。

フライフィッシングで魚が釣れるか否かの大きな要因の一つにこのリーダーシステムがあります。上に記した例は、様々なフィールドで必要なリーダーシステムの中のほんの一部にしかすぎません。フライタイイングやキャスティングは、確立され誌面等で学ぶことも可能なのですが、このリーダーシステムは実際にフィールドに出なければて学ぶことのできない分野です。リーダーシステムを会得するには、フィールドに出て苦い経験を積みながら身体で覚えるのが一番です。

 

さてわたしは、今まさに、アメリカモンタナ州 かのイエローストーンに向けて旅立つ時間になりました。8ヶ月ぶりの、わたしの最も愛すべき「ヘンリーズフォーク」(はアイダホ州)では、あのトラウトたちにまた震撼させてもらうことができるかと、胸がいっぱいになっています。初心者の皆さんは、そんな大河に出られる日を夢見て、私自身もまだまだ勉強すべきことの尽きないフライフッシングを、わたしとともに楽しんでくださいね!

戻る 戻る