われわれフライフィッシャーマンは、渓流が禁漁になると管理釣り場や湖にフィールドを移すことになる。全国各地に数多くの管理釣り場ができ、止水(ポンド、湖、ダム湖)型・自然渓流型という形態はもちろん、レベルや規模など、たくさんの要素から選べるようになった。ベテランのフライフィッシャーマンの、渓流のオフシーズンの間のトレーニングの機会として大いに役立つフィールドであることは言うに及ばないが、放流魚だからと思ってなめてかかり、痛い目にあうこともあったエキスパートも多いのではなかろうか。さまざまな状況下においては、ネイティブな魚よりも数段セレクティブでシビア―なテクニックやシステムを必要とする場合もある。そこが管理釣り場のおもしろいところでもある。
コラム第3回目は、禁漁になり管理釣り場に自然と足の向く(かくなるワタシもそのひとり)みなさんへ。こんなとき、あんなとき、さまざまなフィールドの状況にマッチした「管理釣り場対策」をご紹介しましょう!
自然のフィールドと管理釣り場との違い
管理釣り場とは、ひとが魚の「数(魚影)を操作し、釣れるように管理」しているのに対し、本来「自然に生息している魚が捕食している水生昆虫のコントロール」はしていない、というところである。ひとがひとのために増やした魚の数に対し、餌となる虫や子魚の数は自然の絶対量。当然のことながら、餌に対し圧倒的に魚が多いのだ。その点がどんな状況を展開するか。
「餌となりうる水生昆虫のハッチに対するライズは、自然のフィールド下で我々が目にする反応よりもはるかに敏感に起こる」ということ。「ハッチだ!今だ!数少ない昆虫を捕食したい!!」と無心に無防備に、夢中になる傾向が強いと思われる・・・それはそれは人間みたいだ・・・??
そしてもうひとつ、管理釣り場を泳いでいる魚は、魚種にもよるし自然のフィールド下でも当てはまる場合もあるが、基本的には
- 放流されてから日数を経た魚で、釣り場の環境に順応し、ハッチする水生昆虫を捕食しているタイプ。
- 前日あるいは数日前までは養魚場で餌を食べていた放流直後の魚で、水面に落ちてくる固形物に対して反応しやすいタイプ。
という両タイプの魚が共存しているニいうことである。
<ロッド・ライン>
ポイントまでの距離や泳層がロッドとラインを選択する基準となり、ショートキャストには低番手、ロングキャストには高番手、深いところにはシンキングライン。渓流や小さなポンドでは、2番から4番の7〜8フィート前後。湖では5番から8番8〜9フィートが一般的である。
<リーダーシステム>
使用するフライの種類によって、フライが小さければ細く(超小型のユスリカドライには9Xや10Xを使用)しなければ魚が反応しないこともある。大型のドライフライやニンフを使用する場合には、5X〜3Xを使用する。渓流ではナチュラルドリフトを重視し、15フィート以上が最適で、止水ではターンや操作性を重視し10フィート前後がよい。
<フライ>
放流されてから日数を経た魚ハッチに合わせたフライ(この季節はユスリカなど、小さなフライ)がメインとなる。放流されて間もない魚には大型のドライフライ(養魚場の餌のシルエットに似たもの)やインジケータ―を使用したエッグフライやファジーニンフが効果的である。
フライフィッシングを始めたばかりの全くの初心者には、とりあえず魚を釣る楽しみを味わってもらいたい。それには「魚が釣れた=釣りは楽しい」という図式が必須で、管理釣り場はその可能性の高い場所であることに間違いはない。設備がキレイ、女性・子供専用エリアを持つ、など、近年の充実は大変喜ばしいことだと思う。そしてそれが、「この楽しみを継続していこう」という根底になり、自然発生的にフィールドを守るという気持ちの一端になることと信じている。チュラムさんのサイトに来てくれる自然派のみなさんには言うまでもなかった、ですね!さあ、紅葉まぶしいフィールドに、出掛けましょう!!