トップ > はじめよう!アウトドア > 杉坂プロのFFコラム第7回

杉坂プロのFFコラム
 
 
 

杉坂隆久
1956年2月10日愛知県岡崎市で生まれる。水瓶座。
先祖代々釣り好きの家系に育ち、物心付いた時には、近所の野池や小川で釣り糸を垂れていた。1974年よりフライフィッシングにはまり、川・湖・海、ミッジからストリーマーまで何でもこなせるオールパーパスなフライフィッシングをめざしている。岡崎市でFHスギサカを東京神田でトラウトショップとレビュープロダクツを小野訓氏とともに経営し、ロッドやリールの設計開発を行うかたわら、インストラクターとして全国各地でスクールを開催し後進の育成にも努めている。
著書に「フェバリットフライタイイング」・「シーズナブルタイイング」。出演ビデオに「THE JAPANESE BIG GAME」・「トラウト億万釣者」・「河口湖最新テクニック」等。


第7回 山梨県 桂川・西桂エリア

西桂へは「中央自動車道都留IC下車、西桂町の役場の信号を右折、約15分で到着」と、首都圏からのアクセスがよいため休日ともなると多くの人が足を運ぶという難しい側面もありますが、桂川のその水源は富士の湧水であるため、年間を通じての水温は12度前後と安定しており、釣り場としてメジャーな最上流部の忍野があることからもわかるように、水生昆虫の生息量の多さから魚の成長も早く、活性が高いヤマメ・アマゴ・イワナ・ニジマス・ブラウンの大型魚が釣れるフィールドとして有名です。

 わたしの知る限りでの西桂エリアで最良のポイントだった「学校裏の取水堰堤」でライズを待つことにした。午前10時15分、小型の(#18)ほどのカディスのハッチが始まると、流れこみのリッフル(波立った水面)の中でライズが始まった。#17のエルクヘアカディスを選択しライズを狙いフッキング、プールの中を暴れまわった魚をランディングすると、それは27センチほどの幅広のヤマメだった。ほっと安堵。1匹釣るとこうも落ち着きを取り戻せるのは釣り人共有の人格、といったところか。早速ストマックポンプで胃の内容物を見させてもらうと、ニンフもあれば相当小さなユスリカも。今回目に付くハッチがカディスでそれを主に捕食していたためマッチザハッチの成功となったが、人間の目に付きやすいハッチのフライを選択して結果が出なければマスキングハッチと想定し、さらに水面を凝視しライズの形態から捕食対象を探りあてる必要がある。

  まもなくコカゲロウのハッチがはじまり、お昼近くになるとオオクママダラのハッチとなった。すると流れの中にヘッド&テールで大型のヤマメらしき魚体のライズが見えた。早速オオクママダラのパラシュートダンにチェンジし、3投目にその魚をフッキングした。ランディングをするとびっくり、その魚は尺をゆうに越えた(34.5cm)大アマゴ。魚が暴れまわったためか(併せてわたしが走りまわったためか)、ぴたりとライズがやんでしまったため、下流へと移動し25センチほどのヤマメを2匹ランディングした。さらに車で10分ほど下流の、都留ICをすぎた広いプールへポイントを移し、20cmちょっとの銀化アマゴをランディング。そして最初のポイントに戻り、ライズを探しさらに遊歩道を歩きながら下流へ行くと、明らかに大型魚と思えるライズを発見、魚に気づかれないよう下流側から回り込み、#16のコカゲロウフローティングニンフを6Xのティペットに結ぶ。キャスト。一度空振り、少々間を置いて再びキャストするとフッっと吸い込まれその影が消えた・・・。ランディングには少々てこずったが、なんと40cm近い岩魚!

 本来ならば夕刻を待ってヒゲナガタイプのウエットフライで1発大物をねらうところでした。が、この日の日中のハッチは魚の活性を上げるに十分だったと思われ、関東周辺でしかもドライフライ中心という要因の中で大物をランディングできたこと、20年以上フライフィッシングをしていても「こんなすばらしい釣りは初めてダ!」、ぐらいの感極まる思い・・・。日差しが強くなると日中のライズはほとんど見られなくなりますが、夕刻に集中してハッチする水生昆虫に対するライズは必ずといっていいほど遭遇できるでしょう。そのチャンスを逃さないように。どうぞ素晴らしいフィッシングを!!

 次回は、忍野での「ヒゲナガウエット」に焦点を絞ったコラムをお届けします。

戻る 戻る