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杉坂プロのFFコラム
 
 
 

杉坂隆久
1956年2月10日愛知県岡崎市で生まれる。水瓶座。
先祖代々釣り好きの家系に育ち、物心付いた時には、近所の野池や小川で釣り糸を垂れていた。1974年よりフライフィッシングにはまり、川・湖・海、ミッジからストリーマーまで何でもこなせるオールパーパスなフライフィッシングをめざしている。岡崎市でFHスギサカを東京神田でトラウトショップとレビュープロダクツを小野訓氏とともに経営し、ロッドやリールの設計開発を行うかたわら、インストラクターとして全国各地でスクールを開催し後進の育成にも努めている。
著書に「フェバリットフライタイイング」・「シーズナブルタイイング」。出演ビデオに「THE JAPANESE BIG GAME」・「トラウト億万釣者」・「河口湖最新テクニック」等。


第10回 日光湯元 菅沼

紅葉真っ盛りの日光湯元・菅沼へ釣行しました。ここ菅沼は、以前は完全禁漁だったけれど、一昨年から隔年解禁(1年禁漁としておき、魚のコンディションを整えるという趣旨から)となり、今年はその2回目。オールキャッチ&リリースで1日限定30艘という、予約さえしておけばゆっくりのんびり釣りができる素晴らしいフィールドです。
1週間前に釣行した友人からの事前情報では、日が差し暖かくなったところで湖面にはライズバシバシ、どのライズを取るか悩むほどとのこと。杉ちゃんなら1日30匹は硬い、しかもドライフライオンリーで、と言われて期待大で臨んだのですが、湖にボートを漕ぎ出してみれば風が強く波立っており、ドライで30匹なんてとてもとても釣れる状況ではなかったのでした。なんといっても自然が相手。大いにそのコンディションに左右されるのは仕方のないことなのでした・・・。

風の吹き止まなかった午前中は、風裏になるポイントを順次移動し、ドライカメムシを使用したサイトフィッシング。風裏の穏やかな水面ではときおり回遊してくる魚のライズ見つけることができ、#12カメムシドライ(シケーダーのウイングなし、平べったくカットしたもの。カメムシはたくさん生息しており、宿の中でもどこでもその姿を確認できる。体色はグレー系のまだら模様、腹側は薄いベージュ)を6Xのティペットに結び、まずは30cm台後半のひれピンニジマスを筆頭に5本をゲット。午後になると風も弱くなった。日差しも強くなってきたので、国道側の木陰を攻めてみることにした。岸から10mほどの所に、水面にたまった浮遊物の帯ができている。その中でライズする魚を見つけては移動・移動を繰り返し、終了時間の5時まで集中力を欠かすことのできない厳しい釣りとなった。
今日の状況はすこぶる悪いようで、他の釣り人の釣果を聞いてみても、みな芳しくなかったようだ。
翌日はうす曇。風もさほど強くない。昨日と同じサイトフィッシングで臨むことにする。難易度は高いが、昨日のイメージをトレースすることによりコンスタントにレインボーを上げることができた。

湖で、この日のようなライズが少ない状況下での、ドライでの釣り方のポイントをまとめてみよう。

1.見つけたライズ数>取れたライズ数>釣果数
まずはライズをひたすら見つける。湖面の浮遊物が集まっているところを目指していけばライズを見つけられる確率が高い。

2. 見つけたライズに効率よく近づく
静かに、かつ瞬時に移動するために、必要以上にアンカーを打たない。
同じような位置で3回でもライズがあれば、やる気のある魚が回遊してきていると判断し、離れた場所でも移動してみる。ライズを繰り返している魚の進行方向と平行に、魚を目視できる5〜10mまで近づき、魚の進行方向1.5m先にフライを着水させる。ラインを強く引きティペットの陰を消すことや静かなキャスティングが望ましいことは言うまでもない。自分のキャスティング能力からアプローチが間違いなく正確に行える距離まで近づくこと、その間ライズした魚がどの辺まで移動するか、さらにキャストしフライを着水させられるまでを時系列で推測する。

3. ライズには目にも止まらぬほどの「速攻アプローチ」を
ライズリングができている時は、格段にフライが見破られにくいことはどの状況でも同じだ。
うまくアプローチできなかったのに魚が迷いもなくアタックしてくるということがあるが、それは魚がフライを見つけた瞬間に、うまい具合に風が吹いて水面が波立ったなどの、偶然の要因であることが多い。「迷いもなくアタック」してくる確率を自分の能力で上げられるのが、ライズに対しての速攻打だということがお分かりいただけるだろう。

今回のシステムは、#5ロッドにフローティングラインWF#5、リーダーは12f4xのバット部分を60cm詰め、4xに6xを継ぎ足し、その先にドライカメムシ。水面の照度が高くフライを見切られる時間には、さらにその6xに7xを60cm結び、その先に#18スーパーユスリカを結んだ。午後4時のユスリカに対するライズには9x・#26フローティングピューパまで落とした。その時の魚たちはなんとフックサイズでいえば#30以下のユスリカを捕食していたのだ!

今回初めて行った菅沼でしたが、魚影が濃いめな割には難易度が高いと感じました。が、それはそれでまた熱くなれるものです。
帰り道、国道から菅沼を見下ろすと、湖面に映る紅葉が美しいことに気がつきました。それっくらいわたしは釣りに没頭していたことにも、その時気がついたのでした。そうそう来年の菅沼はお休みで、今年一年休んだ大尻沼がオープンとなります。システムも釣り方もほとんど同じで、すばらしいレインボウトラウトが皆のロッドを絞り込んでくれることでしょう。

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