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杉坂プロのFFコラム
 
 
 

杉坂隆久
1956年2月10日愛知県岡崎市で生まれる。水瓶座。
先祖代々釣り好きの家系に育ち、物心付いた時には、近所の野池や小川で釣り糸を垂れていた。1974年よりフライフィッシングにはまり、川・湖・海、ミッジからストリーマーまで何でもこなせるオールパーパスなフライフィッシングをめざしている。岡崎市でFHスギサカを東京神田でトラウトショップとレビュープロダクツを小野訓氏とともに経営し、ロッドやリールの設計開発を行うかたわら、インストラクターとして全国各地でスクールを開催し後進の育成にも努めている。
著書に「フェバリットフライタイイング」・「シーズナブルタイイング」。出演ビデオに「THE JAPANESE BIG GAME」・「トラウト億万釣者」・「河口湖最新テクニック」等。


第11回 「静岡県 龍山村 天竜川C&R区間」

天竜川、秋葉ダム下流が冬季マス釣り場となって3年目の今年、ついに2001年11月からC&R区間、さらに下流がルアー・フライ専用区となりました。わたしにとって比較的近い(1時間半くらい)、これから熱くなりそうなこのフィールドのコラムをお送りします。

1度目の釣行は11月後半。12月の「釣りビジョン」新番組のロケハンを漁協さんや地元の方への挨拶を兼ねて出向いたため、タックルは持っていかなかった。ところが、というよりやっぱり、渓相を見た途端「釣りしたい欲」、全開・・・。
同行のスタッフが持っていたロッドを借り、#6のウエットマドラーを2Xのティペットへ結びクロスダウンにキャストしスイングさせる。許された時間は1時間、ということで大雑把に淵を釣り下っていった。最後のプールの頭の、白泡の中をスイングさせたとき、巨大な魚がフライを追っているかに見えた。同じようにスイングさせると、フライを押さえ込むようにズシリと思い感触が右手に伝わってきた。リールからラインを30m引き出したそのレインボーは、巨大な体を誇示するかのようにジャンプし、さらに5分ほどのやりとりで60cmを超えるレインボーをランディングすることができた。ファーストヒット・ファーストランディングでこのサイズとは・・・。超オドロキの天竜川、初釣りでの一幕だった。

そしてロケ当日。12月というのに幸いにもこの日は暖かく、ユスリカ・ガガンボ・フタバコカゲロウのハッチが見られる。ときおり小型のレインボーのライズも見られた。この時期にしては珍しく魚も水面を意識している証拠だ。わたしは#8のフォームヘッドウェイカーで水面勝負に出た。この時期にこの釣り方を選択したことはない。のるかそるか・・・半信半疑のままクロスダウンスイングを繰り返す。そして答えは大正解!6匹のレインボーをランディングすることができた。
午後はさらに下流の、流れのないプールでダブルハンドロッドを使用し、シューティングヘッド#9のタイプIに2Xのティペット、その先にルードボディストリーマーを結んだ。先日のロケハンで小魚を追うレインボーをこのプールで見かけたためだ。1時間ほど全くアタリもなく、わたしにも撮影班にも諦めの色が濃くなっていく中、アウトレットの付近で、40cmオーバーを筆頭に3Cのレインボーをランディングすることができた。
夕刻は、そろそろライズが見られるのではと、再び上流のC&R区間に戻る。40mぐらい向こうの対岸でライズするレインボーを見つけ、7Xのティペットに結んだ#16のPMDダンでトライした。この日、このエリアのレインボーはドライにスレておらず、フィーディングレーンをナチュラルに流しさえすれば、なんの疑いもなくフライを口にしてくれたのだった。夕刻になるとさすが12月。急激に気温は下がり、ライズもなくなり魚のフライに対する活性も落ちた。撮影終了!

ということで、この模様は釣りビジョンで12月21日に初回放送されました。リピート放送もありますのでご覧になってください。そして12月23日、天竜川C&Rイベント「Big Mend」が開催され、100人を越すフライマンが全国から集結し、盛大な催しとなりました。わたしはトーナメントキャスティング、岡田裕師氏はスペイキャストの各スクールを、そして参加者全員によるバケツリレー放流会等も行われ、皆さんと楽しい1日を過ごしました。肝心の釣りのほうはというと、さすがに100人もの釣り人が立ちこみC&R区間超満員!状態につき、一部の放流区間を除いてはあまりよい結果は出ませんでしたが、漁協さんのご好意でイベント後には300kgの追加放流もされ、魚が落ち着く今後に期待大、ですね。わたしも「冬季でありながら本流筋のウエットフライフィッシングが楽しめる川」として通っちゃいます。

この釣り場のC&R区間およびルアー・フライ専用区は冬季限定ということで、3月1日に解禁を迎えると当然他の釣り、キープも許されます。我々C&R派としては寂しいことですが、もともと鮎釣りの川として賑わっているこの川を管理する漁協さんからすれば、放流した鮎の稚魚に対する大型のマスによる食害を避けたいということのようです。
しかし、これまで静岡県は、ルアーやフライ(リールのついた竿での釣り)が長い間禁止されていたことを踏まえれば、とりあえずルアー・フライが許可されたという事実は喜ばしいことであり、冬の間、なにも使われていなかった釣り場の有効利用、という新たな観点から、河川を管理される立場の方も、利用する我々釣り人の立場からも、今後の動向を見守っていく必要があると思っています。ここ天竜川は、ひとりひとりがマナーを守って利用していくことによって河川のよいケーススタディと成り得ることでしょう。それでは、寒さにもメゲズ、Nice Fishingを!

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