2月1日に解禁となった岐阜・長野県等の1部河川を皮切りに、長かった禁漁期間に幕を閉じ、ついに渓流釣り解禁のシーズンインを迎えました。特にこの時期「極寒の中のミッジフィッシング」で有名な「長良川のシラメ釣り」は、わたしにとっても毎年の恒例行事となっています。今回はこの晩冬の風物詩・ミッジフィッシングについてのコラムをお送りします!
1.長良川で解禁当初に釣れる「シラメ」とは?
孵化後1年ほどの降海型のアマゴで、本来ならばその大部分は、晩秋に海へ降ってしまっているのであるが、何らかの原因で降りそびれてしまったものやあるいは解禁直前の放流物がその釣りの対象となる。魚体もアマゴとは異なり全体的にスリムで、そして降海のための銀色のうろこがパーマークを隠すように覆い、背鰭尾鰭の先端が黒い。低水温のこの時期においても、緩やかな流れの淵などで、盛んに水面を流下するユスリカを集団で捕食する習性を持つ。
ユスリカはその生息する河川の水温や水質によりそのサイズやカラーは異なるが、シラメの釣れるような低水温時のこの時期は小型のものが多い。大抵の場合はフックサイズでいえば#20〜30で、この小さなフライを使用しなければシラメがフライを捕食対象として見てくれないことと、当然フックサイズにマッチしたティペット9X〜12Xと極細の使用が必要となり、それがこの釣りを難しくしている。
(画像:私の使用するフライ。左からユスリカフローティングピューパ、ユスリカアダルト、スペントユスリカ)
2.システム(ページ下画像:ロングキャスト用システム、ショートキャスト用システム)
3.なんといっても「ライズを探すこと」。
この時期のシラメのライズは、ユスリカのハッチ・流下の時間に起こる。緩やかな流れ、浅く広い川底まで日が当るポイントではユスリカのハッチする時間も早く午前9時頃から、日当たりの悪いポイントでは11時頃から。それが夕方薄暗くなるまで続く。ただし、風の強い日はハッチ・ライズともあまり期待できないため、風裏のポイントを探す様にする。穏やかな日にユスリカのハッチが始まれば、そのポイントにシラメが居ればライズが始まると思って間違いがなく、逆にライズが無ければ魚がいないということになる。
4.自分のキャスティング能力の、8割の射程距離、そしてライズする魚に対して魚よりも上流に位置し、クロスダウンでのアプローチ。
安定したライズを見つけ波紋を立てない様に上流から静かにストーキングをし、理想は流れに対して魚から45度の角度、そして可能な限り、接近する。フライのプレゼンテーションはライズする魚の2m上流、1m超えた向こう側にキャストし、引き戻しながらフィーディングレーンにフライを乗せ、魚の鼻っ面に流し込む。
…スレていない、うぶなシラメであれば、フライを咥えこむと思うのですが、
解禁日から連日フライマンにいじめられた魚はそう易々とフライを口にしてはくれません。
5. 再チェック
・ライズを繰り返す魚の捕食しているユスリカと自分のフライは合っているか(多少のカラーは問題ない)、ウェーディングしている自分の周りに流下しているユスリカのサイズを再確認する。
・ フライがナチュラルに流れているかどうか
この2点が完璧にこなしているにも関わらず魚がフライを見切るようであれば
・ ティペットの影が目立っていないか
フライを落とした後竿先でラインを引き、フライを一旦水中に沈める。フライはCDCの浮力で再び浮上し、ティペットはフライから数cmが水面膜の下に入りそれによって浮いたティペットの影を消すことができる。
ここまでやれば、絶対!…と約束はできませんが、あなたのフライを口にしてくれることでしょう。
フッキングは小さく鋭くが基本です。大合わせはアワセ切れの原因となり、中途半端でスローな合わせ(迷い箸ならぬ「迷いアワセ」は空振りの原因となります。フライを口にしたシラメの3割から4割をランディングに持ちこめたら、完璧です。
長良川、寒狭川などで、この「極寒のミッジング」に挑戦すること、それが私にとっての解禁です。
皆さんもたっぷり厚着をして、ぜひこの解禁イベントに挑んでください。
ロングキャスト用システム |
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