8月、9月の前半は、気温と水温の上昇により、中流・下流域、特に日中は魚が岩陰に潜み捕食行動をしなくなることによって釣りが成立しづらくなります。対して源流域は、水温の低さと、木陰・岩陰の多さもあいまって、魚たちは日中でも果敢にフライにアタックしてくるのです。
1. タックルについて
まずはロッド。大抵の源流は川幅が狭く木の枝が張り出しているので6ftから7ftが最適。フライはアント、ビートル、グラスホッパーなど、テレストリアル系がメイン。正確にピンスポットでキャストする必要があるのでラインは#4が最適。リーダーシステムにはその川の流れによりますが極力短く7ftを3X、ティペットはフロロカーボンの4Xを3ftほど。
2. ティペットについて
4Xのティペットと聞いて驚いちゃう人もいると思いますが、これは、真夏の源流の「くもの巣」が対策。「くもの巣本体を支えている4本の太糸」に触れた細いティペットが、なんのためらいもなくスパっと、一瞬にして切れてしまった、という私の経験からきています。聞いたところによると、粘着性のない太糸はざらざらのヤスリのような構造なのだそうです。しかし、渓流らしからぬ4Xなんて太さのティペットは、魚にティペットが見抜かれにくい、白泡の脇や波だったポイントや落ち込みの逆巻きなどには許容範囲内ですが、開けたプールや堰堤などではやはり4Xでは出てくれないことが多くなります。そういったポイントを攻める時には都度フライを外し6Xや7Xのティペットを継ぎ足しましょう。
…面倒くさがらずに、こまめにティペットやフライを選択・交換することが釣果へと繋がります。
3. 魚へのアプローチ
源流の魚たちは(入渓者が少なければ、という前提で)スレていない場合が多いため、フライに対してもゆっくり浮上しのんびりとくわえ込むという出方をすることが度々あります。そんな魚へのフッキング率アップに繋がるコツは「遅アワセ」。源流部では基本的に水生昆虫が少ないので、捕食可能な流下物ならなんでも食べるというスタンスの魚が多いことから、あまりフライにこだわることなく魚も発見しやすくかつ自分からも見えやすい、あるいは浮力が持続しやすいフライを選できますが、そんなフライに魚がアタックしてくるか否かはあくまでも「ナチュラルドリフト」でのアプローチかということにかかっているのです。
…結局これが最も大切な要素です。岩の点在する小さなポイントは、離れた位置からのキャスティングよりも接近して岩陰からショートキャストしましょう。もちろん接近の際には魚が散ってしまわないように細心の注意を払うことは言わずもがな、です。
最後に。源流には一人で行かず、同行者と。万が一事故に合っても最悪の事態を避けられます。天気予報に注意して、自分のところに雨が振っていなくとも急に木の葉が流れてきたり増水を感じたら早め早めに川から上がるようにしてください。
蒸し暑い都会を離れ、切れるような冷たい水と森の香りの中でスレてない魚達と遊ぶ源流釣行。この季節ならではの醍醐味ですね。