最近では、フリークライミングに高い価値があり、主流になっていますが、かってはフリークライミングの対極としてARTIFICIAL CLIMBING(アーティフィシャル・クライミング)人工登攀という技術がありました。ホールドがない垂直の壁や、庇のように張り出した岩を登るのには、壁に穴をあけ、ボルトを埋め込み、アブミをかけて登ったのです。 ヨセミテも開拓当時は、ボルト連打で登られたルートもあるのですが、自然を壊す、登攀を安易にするなどの理由で、イヴォン・ショイナード達が提唱した“クリーンクライミング”運動によって、ボルトが抜かれ、積極的な人工登攀は影を潜めました。
ヨセミテでは、どうしてもフリーで超えられない壁を登るのに使用される、消極的な人工登攀や人工物、つまりクライマーの安全のための最小限の人工的な支点や、ラダーと呼ばれるアブミなどを使うことをAID
CLIMIBING(エイド・クライミング)、補助的な人工手段と呼んでいます。A5とは、このエイド・クライミングの難易度で、最も困難なグレードを表します。
エイド・クライミングの旗手であったジョン・ミデンドーフはA5というブランドを立ち上げ、ポータレッジという、折りたたみ式の岩壁から吊り下げる寝床や、食料装備を入れて壁を引きずりあげるホールバックなど、エイド・クライミング用の用具を作って来ました。
数年前からザ・ノース・フェイスの傘下に入ったA5は、エイドの用具だけでなく、アパレルも提供するようになりました。
A5シリーズのウェアは、ボルダリングなどはもちろん、よりフリーな、これぞウエストコーストという感覚で、タウンで着ても楽しいものになっています。
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