アンケートから見えた「被災者は何に困るのか」
昨今、災害により大きな被害が相次いでいますが、実際に被災した場合、何に一番困るのかが分からないという方も多いことでしょう。ここでは、実際に被災された方へのアンケートから見えてきたことをお伝えします。
災害対策について
内閣府が平成29年11月16日~11月26日の期間に行った世論調査(回答者1,839人)では、実際に防災用品、とりわけ食料、飲料水、日用品、また懐中電灯などの準備をしている人が全体の半数ほどであるということが分かりました。
出典:「防災に関する世論調査」の概要 内閣府政府広報室(平成30年1月) より抜粋・加工して作成(https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-bousai/gairyaku.pdf)
では、実際に被災した場合、どのようなことに困るのでしょうか。
本当に困ったことはなんだったのか
こちらは、岡山朋子氏(大正大学人間学部人間環境学科)が実施したアンケート調査結果の一部です。
避難生活の初期において、もっとも困ったことは何か聞いたところ、なんと66%が“眠れる環境”、次に62%が“トイレ”と回答したそうです。
防災準備が行われている“食事”が50%、“飲み物”は37%でした。また、抜粋された自由回答からは、衛生面での不満も見て取れます。食料や水は備蓄している自治体・企業が多くありますが、睡眠、トイレについてはまだまだ準備が整っていない事がうかがえます。
出典:平成28年熊本地震「避難生活におけるトイレに関するアンケート」結果報告より抜粋・加工して作成(https://www.toilet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/survey180410.pdf)
※特定非営利活動法人日本トイレ研究所様の許可を得て掲載。
準備の意識が向きづらい、睡眠とトイレ
- 食料、水、日用品や懐中電灯の準備は半数ほどが行っている。
- 実際に困るのは、準備が整っていない睡眠とトイレ
ニュースなどで報じられる支援物資では、食料や水が大きく取り上げられるため、実際に防災のために準備する人も多いでしょう。しかし上記の結果を見ると、そうした準備にばかり目が行き、睡眠や排泄などの生理現象にはなかなか意識が向かなかったことがうかがえます。
余震や二次災害などで睡眠不足に陥れば、免疫力が低下します。また、トイレは我慢できるものではなく衛生面での影響も大きいため、避難生活において健康を阻害する可能性も大きく、深刻な問題であるといえるでしょう。
既に備えは十分だと思っている方も、こうしたアンケートに目を向け、準備しているものを今一度見直し、何か足りないものがないか考えてみましょう。